2025年度健安協会員総会レポート

開催概要

日時:2025年5月29日(木)18:30~21:00終了
会場:ピアシス虎ノ門店 東京都港区西新橋1-12-10一景ビル地下2階
TEL 03-5157-1156
内容:2025年度健安協会員総会
参加者:来賓5名、会員21名、健安協関係者12名 合計:38名

プログラム

18:30~ ◇開会挨拶 健安協代表理事 会長 金髙 雅仁
18:40~ ◇来賓挨拶 「世界のお巡りさんコンサート実行委員会」名誉委員代表 日本道路交通情報センター相談役 池田 克彦 様 警察大学校国際警察センター所長兼警察庁長官官房審議官(国際担当) 小笠原 和美 様 警視庁総務部長 久田 誠 様 警視庁総務部広報課長 岡田 祐樹 様
19:05~ ◇記念講演 「サイバー空間における脅威情勢と警察の取組」
警察庁サイバー警察局 サイバー企画課長 阿久津 正好 様
19:25~ ◇2024年度事業報告
19:30~ ◇2025年度事業計画発表 健安協専務理事 常田 照雄
19:35~ ◇クロージング 集合写真撮影
19:38~ ◇懇談会
20:45~ ◇中締め 健安協理事 副会長 髙橋 清孝
21:00~ 終了

開会挨拶

健安協 代表理事 会長
金髙 雅仁

「世界のお巡りさんコンサート」がいよいよ復活することとなった。
今年はベトナムが建国80周年を迎える節目の年であり、同国での開催を予定している。現地での準備は順調に進んでおり、例年よりも規模を拡大する計画である。警視庁音楽隊の参加も予定しており、世界各国の警察関係者が一堂に会することで、国際的な警察間の連携強化が期待される。

また、近年国際的な詐欺犯罪が深刻化している。たとえば、シンガポールでは2024年の犯罪のうち65%が詐欺事件であり、香港では同様に47%を占めている。ドイツにおいても詐欺犯罪は増加傾向にある。日本国内でも、特殊詐欺やオンライン詐欺による被害額は1日あたり約5億円にのぼるとされている。さらに、ミャンマー国境周辺では人身売買や組織犯罪、闇バイト、強制労働などの犯罪拠点が存在し、国際犯罪の震源地の一つとみなされている。

こうした状況を踏まえ、「世界中の警察が連携し、協力して対策を講じていく必要がある」と認識するとともに、健安協としても、引き続き国際的な安全・安心の実現に向けて積極的に取り組んでいく所存であります。

来賓挨拶

世界のお巡りさんコンサート 名誉委員代表
日本道路交通情報センター相談役
池田 克彦

コロナ禍という困難な時期を乗り越え、「世界のお巡りさんコンサート」が再び開催されることに対し、心からの喜びを感じている。このコンサートを通じて、世界の警察が連携を深め、国際的な犯罪への対応が一層進むことを強く期待している。

平成2年(1990年)ごろ、警察庁広報課長として「全国警察音楽隊演奏会」を東京で開催した。当時は、フジテレビの軽部アナウンサーを司会に迎え、ミッキーやミニーも登場するなど、非常に華やかな演奏会となった。その際、常田専務理事から「外国の音楽隊を招いてはどうか」という提案を受けた。それは非常に良いアイデアだと感じたが、当時は実現には至らなかった。

しかし、その構想は6年後、「世界のお巡りさんコンサート」として実現し、長年の思いが形になった瞬間であり深い感慨を覚えた。また、警備課長時代には「中国などの国も招いてはどうか」という提案もあったが、当時は慎重な意見が多くすぐには実現しなかった。それでも数年後には実現に至り大きな成果であった。

今回の海外開催は、まさに長年の努力の結実であり、関係者の皆様に対して深い感謝と敬意を表したい。現在、犯罪は国境を越えて連携しており、警察間の国際協力の必要性はますます高まっている。音楽隊の多様性にも触れ、異なる文化的背景を持つ隊が一堂に会することの意義は非常に大きい。あたらめて感謝申し上げます。

警察庁長官官房審議官(国際担当)
小笠原 和美

「世界のお巡りさんコンサート」がベトナムで再開されることに対し、かつて東京開催に携わった経験を思い起こしながら、国際的な警察連携の意義を改めて実感している。音楽を通じて各国の警察がつながり、信頼関係を築くことは、国際社会における治安維持において極めて重要であると考えている。

現在、日本国内ではSNSを利用した投資詐欺やロマンス詐欺、特殊詐欺などが深刻化し、大きな被害が出ているが、カンボジアをはじめとする東南アジア諸国において詐欺拠点の摘発も進んでいる。これらの犯罪は国境を越えて広がっており、国際的な連携の必要性はますます高まっている。

こうした犯罪への対策には、警察の努力だけでなく、民間団体や市民の協力が不可欠である。健安協および会員企業の皆様が日頃から取り組んでおられる活動に対し深く感謝している。音楽を通じて警察と市民がつながることの大切さを伝え、今後も皆様と協力しながら、安心・安全な社会づくりに取り組んでいきたいと思っております。

警視庁総務部長
久田 誠

日頃より警視庁に対して多大なるご支援を賜っていることに、まず深く感謝の意を表したい。

刑法犯の認知件数は、コロナ禍において一時的に減少したものの、現在は再び増加傾向にあり、昨年は約95,000件に達した。特に、SNSを通じた闇バイトによる凶悪事件が顕著に増加しており、これに対応するため、今秋には対策本部の設置を予定している。また、サイバー犯罪も深刻化しており、不正送金やランサムウェアによる被害、さらには航空会社のサーバー障害といった事案も発生している。これらに対処するためには、警察内部での専門技能の強化と、市民への継続的な注意喚起が極めて重要であると考えている。振り込め詐欺については、昨年の被害額が80億円を超えており、その背後には国際的な犯罪グループの存在がある。これに対抗するには、海外との連携が不可欠である。

「世界のお巡りさんコンサート」へ警視庁音楽隊が参加し、ベトナムでの演奏の機会をいただき光栄に思っている。都民との“音の架け橋”が、世界との架け橋となることを心より願っております。

警視庁総務部
広報課長
岡田 祐樹

警視庁音楽隊は広報課に所属しており、現在は楽器演奏を担当する約55名と、フラッグ演技を行う「メック」約12名を含む、総勢70名弱の編成となっている。長年にわたり活動を続けているベテラン隊員も多く、過去に「お巡りさんコンサート」に参加した経験を持つ隊員も少なくない。

今回、健安協のご協力により、音楽隊がベトナムでの「世界のお巡りさんコンサート」に参加できることとなり、隊員一同、大きなやりがいを感じている。私自身も、開催を心待ちにしている隊員たちの思いを受け止め、この機会が警察と市民、そして国際社会との絆を深める貴重な場となることを願っております。

記念講演

警察庁サイバー警察局
サイバー企画課長
阿久津 正好

タイトル:「サイバー空間における脅威情勢と警察の取組」


講師:警察庁サイバー警察局 サイバー企画課長 阿久津 正好 様



1. サイバー犯罪への対応と組織体制の強化
サイバー犯罪の増加に対応するため、警察庁では組織体制の強化を進めている。令和4年の警察法改正により、サイバー警察局およびサイバー特別捜査隊が新設され、全国規模での重大事案への対応が可能となった。さらに、2024年には分析機能を強化した「サイバー特別捜査部」を設置、2025年には「特別対処課」が設置された。

また、ナイジェリアの詐欺グループに対する国際共同捜査の成功事例に見られるような連携や47都道府県警察の全ての部門との連携体制が重要である。

2. ランサムウェアの現状と対応事例
ランサムウェアによる被害は依然として高水準にあり、近年では「暗号化せずに情報を盗み、公開を脅迫する」二重恐喝型が増加している。大阪急性期・総合医療センターでは、給食業者を経由して侵入され、電子カルテが暗号化される被害が発生。復旧には数か月を要した。

警察庁は、ユーロポールなど国際機関と連携し、都道府県警察とともに捜査を展開。現在、約2,600名の都道府県警察のサイバー捜査官と約800名の高度な専門技官が育成されており、国際捜査を主導する体制が整いつつある。

3. 被害の未然防止と今後の対策
ランサムウェア被害の未然防止・拡大防止のため、VPNやリモートデスクトップの脆弱性対策、セキュリティパッチの適用、強固なパスワード設定など、基本的な対策の徹底が求められる。

さらに、オフラインを含む複数のバックアップ取得、ログの保全、業務継続計画(BCP)の策定、関係機関との連携体制の整備、訓練による対応手順の確認など、実践的な備えが重要だ。今後は「能動的サイバー防御」の導入や、基幹インフラ事業者への報告義務の新設も予定されている。


サイバー空間を「公共空間」と捉え、国際連携による犯人検挙・抑止、官民連携による被害防止を通じて、サイバー空間の安全・安心の確保に努めてまいります。

◇2024年度事業報告

初の試みとなる「第1回絆フォーラム」は、多くの皆様にご参加いただき、盛況のうちに終了した。
シンポジウムでは、実務に即した内容が展開され、参加者からは「非常に教訓になった」との声が寄せられるなど、高い評価を得た。
また、警視庁音楽隊による演奏も行われ、初めてその演奏を聴いた参加者からは「演奏レベルの高さに驚いた」「感動した」といった称賛の声が多数寄せられた。
さらに、健康体操のプログラムでは、会場全体が一体となって取り組む様子が見られ、参加者の満足度も非常に高く、好評を博した。(スクリーンに第一回絆フォーラムのダイジェスト映像を流す)

◇2025年度事業計画発表

健安協 専務理事
常田 照雄

〈世界のお巡りさんコンサートINベトナム〉
8月9日(土)朝にはハノイ中心部にあるホアンキエム湖周辺でパレードを。また翌10日(日)夜にはホーグォムオペラハウスでコンサートを実施する。2019年を最後に中断していた同事業の復活と言える。

4月23日には、仏オペラ・カルメンの会場(ホーグォム・オペラハウス)でトー・ラム共産党書記長との面談が実現。
日本発祥の「世界のお巡りさんコンサート」を日越で共催出来ることに心からの謝意を表明。また、これまで毎日新聞が紡いで来た「日越交流の絆」を、健安協がさらに発展させて行くと述べると「素晴らしい。(健安協とは)今後様々な協業が出来る」と期待感を示して頂いた。

そして10月29日には、昨年に引き続き第二回安心安全絆フォーラムを「きゅりあん」(品川区立総合区民会館)大ホールで実施する。
「サイバー空間の脅威と対策」がテーマのシンポジウムと、警視庁音楽隊のコンサートが今年の柱。

ベトナム公安省サイバーセキュリティ局の幹部がパネリストとして参画するほか、シンガポールなどにもパネリスト派遣を要請したい。
国際的で、しかもだれにも分かり易いシンポジウムをと考えている。

昨年、今年とホップ、ステップと来て、来年はいよいよジャンプの年。来年秋には「世界のお巡りさんコンサートIN東京」の開催を目指しているので、ご協力をよろしくお願い致します。

◇集合写真撮影

◇懇親会

乾杯 池田克彦氏

副会長 髙橋清孝